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章を埋めるように

十四年前に渡米して最初に出来た友達の一人が所要でこちらに来ていたので、先週食事を共にした。 面と向かって話したのは十年以上前だろうか。それとは別に今週末、 カーネギーメロン大学時代の友人の結婚式に出席した。前者の友人はパデュー大学、 後者はウィスコンシン大学で教鞭をとり、それぞれの分野で見事に活躍をしている。 自然、博士号を取得して早々学術機関とさよならした自分の人生との比較に思いが及ぶ。

結婚式のあったサンタクルーズから自宅のマウンテンビューは急カーブの多い山道だ。 途中、ベンロモンドに寄ったので、さらに一山越えることになる。 時折見晴らしの良いカーブにあたると思うや否や、再び森林の中を突っ切るような反対カーブになる。 何度も揺られながら、これからどのように仕事の道を歩もうかと私の思索も森の中のようだった。

やっとサラトガに入り、あたりはひらけた。州道85号に乗ってほっとした時、ふと本を書こうかと思った。 売ろうとか、多くの人に読んでもらおうというのではない。正直言って、何を書こうかさえ迷うところ。ではなぜ?

何年も前になるが、博士課程中盤に教授からこうアドバイスを受けた。 「博士論文の章立てをまず書きなさい。そして各章を埋めるように研究を進めていきなさい。」と。 このシンプルで素晴らしい教えのお陰で、論文執筆は難なく終わった。

Table of contents

これからの仕事の道を考える上で、同じようにまずは本の章立てを書いてはどうだろうか。

各章を埋めるように、仕事における自分なりの学びをまとめてゆく。穴の空いた部分を認識し、 修行を重ね、結論を出し、その章を埋める。この作業を何年もかかって進めるなかで、 一度書いた部分を読み返し、恥じ入り、書きなおすこともあるだろう。 途中、大きく章立てを変更することにもなるだろう。

やっと下書きが完成するころには、何かの役に立つ自分になっているかもしれない。 そういう淡い期待で、本を書いてみようかと思った次第だ。

自宅に戻り窓を開けると、夕方の涼やかな風が留守中に篭った空気を少し追いやってくれた。

Original post: Aug. 18, 2014 | Last updated: Aug. 18, 2014

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