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37歳

37歳の誕生日が過ぎました。私の誕生日は師走も後半なので、常々誕生日はお祝いというより一年を振り返り、来年への思いを巡らすという機会になっています。三年ほど前から誕生日の前後に何か書き残すことが恒例で、2009年2010年2011年に引き続き今年も経過報告をしようと思います。

さて、昨年はシリコンバレーのスタートアップ企業への転職が決定した直後だったので、転職の経過を紹介する記事となりました。そこにはこんなことを書きました。

自分は3つの事に集中しようと考えました。テクノロジー、製品開発プロセス、そしてビジネスの勉強です。一番目のテクノロジーはある程度自習が可能との自信が少しあります。すくなくとも大学に戻ろうとは思えませんでした。二番目の製品開発プロセスは、ヒューストンでの4年半で実践的に学ぶ機会に恵まれました。私の場合、アジャイルソフトウェア開発手法、特ににスクラムが経験の中心です。そして最後、ビジネスの種をまいて、回して、育てていくというのは、それまで勤めていた巨大な企業で、主に社内向けの製品を開発しているだけでは学習は難しいと思いました。豪華客船のクルーとしてボイラー室だけをのぞいている状態から、もっと小さなヨットで海に飛び出して、少人数のクルーと共に全部に責任をもつ環境に自分を放り込みたいと思いました
この時はまだFiveStars(ファイブスターズ)で働きはじめる前でしたが、スタートアップ企業で働くことで得たいと考えていた以上の収穫となりました。FiveStarsについて簡単に書くと、顧客ロイヤリティに関する技術を中小の飲食、小売業者に提供することをテーマとして2011年3月にYコンビネータを卒業した会社です。200万ドルの初期投資をほぼ使い果たした2012年1月9日に私が働き始めたころはサンフランシスコとロスアンジェルスにて約500店舗と契約を結び、10万人程の利用者がいました。それから半年後には1,390万ドルのシリーズA投資をベンチャーキャピタルから受け、現在では20州にまたがる1,500店舗以上との契約を結び、利用者50万人にまで成長しました。私は5人目の正社員開発者として参加しましたが、現在、社員は開発、セールス、サポート等を含め75人を超えました。


FiveStarsでの一年はこんなにワイルドな乗り心地でした - 夏の社員旅行で妻と共に

最近ではテッククランチオールシングズDフォーブスなどに度々取り上げられているので、華々しく思われることもかもしれませんが、実際にはカリフォルニア州マウンテンビュー市はずれの安いオフィスが本部です。伽藍堂の建物には大きなシャッターがついており元々ガレージだったことが分かります。最高経営責任者(以下CEO)、共同創業者を含め私より10歳以上若い社員が多数を占めます。長い経験をもったリーダーが率いる会社とは対極にあるような、急速に学習しながら会社を動かすというか、会社を動かしながら急速に学習していく集団です。

皆よく働きます。CEOと最高技術責任者(CTO)が会社を 立ち上げた時にはインスタントラーメンを食べながら1週間は6日、一日を28時間(つまりプラス4時間×6日、一週間で昼夜がもとに戻る)というサイクルで開発を行なっていたという冗談のような話が残っています。どの部門のメンバーも文句も言わずに長時間労働を厭いません。このような過酷な(過激な?)環境な中でやってこれたのは皆本当に仲が良くて友達家族そのものだからだと思います。先週もCEOを含め本部のメンバーでタホへスキーやスノーボードをしにいって夜通しパーティーでした。(我ながらこの若い連中によくもまあ馴染んでいるなと思います。)

この私より10歳程度若い世代。恐ろしいほどの天才達がひしめいています。特にサンフランシスコベイエリアには発想力、実行力、社交性に富んだ若い起業家が激しく競争ながらも親密なネットワークを形成しています。急速に話題を集めるスタートアップに身を置くだけでそういった人たちに知己を得ることが多くなりました。FiveStarsのCEO、 CTOを含め、年齢にこだわらず素直に若いリーダーから学んでいます。

37歳という題で仕事のことばかり書いてしまいましたが、この一年という時間の 60%以上は仕事について頭を使っていた(30%は睡眠)と思いますので仕方がないかと思います。こうしてリスクの高いスタートアップで無茶苦茶にやってこれたのも、が安定企業に一足早く転職してくれ、私の取り組みを支持してくれたことに尽きます。これほど濃い一年だったとはいえ、会社は世界一の企業になる千里の道を一歩踏み始めたばかり。これから構築しなければならないことが山ほどあって目も眩みますが、来年は仕事に加えて自己管理や家庭の面でまた一歩前進できれば良いなと思います。

カリフォルニア州マウンテンビューの自宅にて

田中乃悟

Original post: Dec. 22, 2012 | Last updated: July 23, 2014

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